REPORT 研究レポート

研究レポート

研究題名 レシピを自由選択可能な減塩システムの継続性と有用性の検討
研究代表者 中村守彦(島根大学地域未来協創本部地域医学共同研究部門)
研究責任者 水田栄之助(山陰労災病院循環器内科)
承認番号 島根大学医学部医学研究倫理委員会承認番号(20160519-1: UMIN000049601)

研究概要

【目的】

特許技術(特許第 6714238)を活用して産学共同で開発した、献立アプリと冷凍食材および減塩レトルトソースを利用した「減塩システム」の継続性と有用性について、パイロット試験を行った。

【方法】

研究への同意を得た被験者 10名を対象に実施した。適格基準は、降圧剤を服用していない高血圧者(収縮期血圧 130mmHg 以上、180mmHg 未満)とした。介入期間を 28日、1日減塩食 2食の喫食を原則とし、最後まで研究を継続した割合が 40%以上の場合、継続性ありと基準設定した。主要項目を「完遂割合」、副次を「収縮期血圧の全員平均の推移観察」とした。研究対象者は、日々の喫食の有無および朝夕の血圧測定値をアプリ入力・記録した。介入前後に 24時間蓄尿ナトリウム値を委託検査した。研究対象者は、塩分が 1食 2g以下の 28日分レシピを登録した献立アプリを使い、冷凍食材と減塩ソースを自由に組み合わせ、自宅で電子レンジ「料理」した。その組み合わせは約 80,000 通りとなる。冷凍食材には一切、味付けはなく、レンジアップ後に減塩ソースで味を整える調理システムである。

【成績】

研究対象者 10名の完遂割合(28日間)は 100%であり、喫食率は 90.0%(506/560 食)であった。介入前後の収縮期血圧の降圧効果および 24時間蓄尿ナトリウム値において、対象者全員の平均値の低下傾向を観察した。介入前後の塩分チェックシート(高血圧学会公認)の分析により、食塩摂取量の減少が効果量大と評価された。介入後アンケートにより、本減塩システムを受け入れ、楽しく美味しく減塩生活を続ける可能性が示唆され、日々の「減塩を心がける」ようになった等、食習慣の行動変容を認めた。尚、冷凍食材、減塩ソースおよび献立アプリを利用した本システムを普段の食事に取り入れたいとした回答は80%であった。

【結論】

既存の減塩宅配弁当とは違い、自分の意思で献立を選択し、無理なく飽きずに減塩食生活を可能にする減塩システムであることを実証した。

臨床研究の結果。本研究の主要評価項目:減塩食 喫食の継続性(完遂率)100%(10名全員が28日間継続)・原則、1日2食の減塩食を喫食する。 ※28日後、10名の減塩食の喫食の継続性(完遂割合)は100%で、喫食率は90.0%(506/560食)であった。本研究の副次評価項目:被験者全員の血圧変化。・毎日、朝夕に家庭で血圧計測して、アプリ入力する。ポイント:研究期間中に医療従事者の介入は一切なし。28日後、収縮期血圧の降圧効果および24時間蓄尿ナトリウム値において、対象者全員の平均値の低下傾向を観察した。
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